この記事では、『冬にファンデが浮く”皮膚科学的” な理由』をお伝えします。この間違いはターンオーバーを理解している人であれば起こりません。
ターンオーバーの復習はこちら▶【表皮4層の働きとは?】表皮の詳しい働きに関わる知識をわかりやすく解説|3分でわかる美容知識 基礎⑤
寒い日に化粧のりが悪くなる原因は、「角質が多いから」だけではありません。
”乾燥によって角層構造が乱れた状態で拭き取りをし、一時的に改善→数時間後にさらに化粧のりが悪くなる”ケースも多い時期です。
『冬の皮むけ=角質が溜まっている』は誤解
まず理解しておきたいことは、
冬の皮むけは「角質肥厚」だけが原因ではないという点です。
寒い環境では
- 皮脂分泌量の減少
- 角質水分量の減少
- ターンオーバーの乱れ
が同時に起こります。
その結果、角層細胞同時をつなぐ構造が弱まり、角層が均一に剥がれずに”めくれるように脱落します”。
☝️これは
「不要な角質が溜まっている」のではなく「必要な角層が壊れかけている」状態です。
【美容上級者向け】どちらが角質肥厚でしょう?


正解は、左が角質肥厚状態です。右は乾燥でペラペラ肌表面がめくれている状態です。
なぜ、乾燥めくれにも拭き取りをすると一度だけ化粧のりが良くなるのか
乾燥でめくれた角層に対して角質ケア(拭き取り、ピーリング、ゴマージュ等)を行うと、
- 表面の凹凸が一時的に除去される
- 光の反射が均一になる
- ファンデーションが密着したように見える
ため、
一瞬「治った」と錯覚しやすい。
しかしこれは、肌が正常に戻ったのではなく、
元々乾燥で弱った肌を削っただけの状態です。
そして、時間が経つと化粧のりが悪くなる理由
角質ケア直後はきれいにツルっとしていても、数時間後に化粧のりが悪くなってくる最大の理由が水分蒸散です。
角層が薄くなると
- 水分を抱え込む力が低下
- バリア機能が破綻
- 空気中へ水分が逃げ続ける
など、肌自体のうるおい生成力やうるおい保持力が低下しています。
結果として、ファンデがひび割れたり、浮いてきたりするのです。
冬にやりがちな”逆効果の角質ケア”
以下に当てはまる場合、
化粧のり悪化ループに入っている可能性があります。
- 皮むけ=角質肥厚が原因だと思っている
- 冬でも定期的にピーリングしている
- 朝の拭き取り化粧水が欠かせない
- メイク前にスクラブ・酵素洗顔を使う

上記のような状態の肌の表面を無理やりとっている(バリア機能破壊)ことになるのです。それは”健康な肌”へのお手入れとは真逆の行為です。
寒い日の化粧のりを立て直す正解ケア
乾燥している肌に必要なのは
角質を「取る」ことではなく「再構築する」こと。
ポイントは3つだけ。
- 摩擦を極力減らす
- 角層内に水分をとどめる
- 温度・湿度変化を前提にケアする
肌を薄くするケアではなく、
“密着できる角層”を作るケアが
結果的に化粧のりを改善します。
多くの肌を見てきた化粧品専門家がお客様に試してよかった方法
- 化粧する前のスキンケアにオイルを取り入れる
- 乳液orオイルパックをする
ポイントは『油分』です。油分を意識的にしっかり取ることで、その場の化粧のりだけではなく、水分蒸散で起こる化粧崩れにも対応することができます。
注意点は、あまりべたべたとしたものや量が多すぎると、下地やファンデが滑り汚くなってしまう点です。”乾燥している部位は多め””化粧水前のオイルにしよう”など工夫が必要です。
まとめ
私が接客をしていた中でも一番多かった間違いが「冬の角質ケア」かもしれません。角質ケアも進化し、一度使っただけでもツルっとなるものも多く、効果を感じて使用する人も多いです。
ただ、寒い日は特に肌状態をしっかり知った上で使用するようにしましょう。
冬の乾燥「皮むけ」をまとめると、
- 冬の化粧のりの悪さには、”乾燥して角層がめくれるor角質過多”がある
- 角質ケアで一時的に良くなるのは錯覚
- 本当の原因は水分蒸散量増加と角層バリア低下
- 乾燥状態の化粧のり対策は「削らない」が正解
角質肥厚と角層異常剥離の違いをしっかりと見極めましょう!


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